行政書士試験突破塾

平成18年度行政書士試験合格者
こくう様(京都府)

 行政書士試験受験1ヶ月前の10月中旬の日記では「昨日は机に向かうのも苦痛だったが、今日はそうでもない。気分の浮き沈みが激しい」、2週間前の日記では「どうも眠りが浅い感じ、様々な夢を見ている。これもプレッシャーか」そうして迎えた行政書士試験当日。試験後の予想回答を検討しても、合格はギリギリの状況で配点しだい。不安なままに発表までを過ごす。
 「あった!」家族と一緒に喜びをかみしめる。「よかった」念のために印刷もして再度番号を確認、「間違いない」。結果は五肢択一104点・多肢選択20点・記述28点で法令が152点、一般知識は40点、合計192点でした。
 49歳で25年勤めた会社を退職、51歳で受験を決意したオヤジです。この2年間は行政書士の学習に専念、1年目の平成17年度は不合格、2年目の今回が最後の挑戦との覚悟で受験しましたが合格できて幸いでした。行政書士試験センターの分析によると平成18年度の今年は、他が減っているのに50代と60代の受験者が増加しています。そうした方に少しでも参考になればと私の経験を書いてみます。

---きっかけ---
 会社都合での突然の退職で、1年間は次の働き場所を求めて試行錯誤するもうまくいかず。司法書士への転換を果した元同僚に進められて平成16年12月に行政書士試験の受験を決意。ネットで探した「突破塾」を選んだのはもっぱら経済的理由から。自分の実力もわからないままに、それから11ヶ月の受験勉強にとりかかりました。無謀にも平成17年には7月「住環境コーディネーター」と11月「マンション管理士」の受験も計画し、並行して学習を進めました。合格したのは「住環境コーディネーター2級」のみ、「マンション管理士」にいたっては途中で受験そのものを取りやめる結果となりました。当然10月の行政書士試験も不合格。学習に専念するという事で収入なしの1年でしたので、家族もガッカリでした。とはいえ、自分ではそれなりに手ごたえを感じていましたので、もう1年に限ってという条件で2年目の再挑戦を許してもらいました。

---1年目---
 行政書士試験1年目の結果は法令択一42 記述15 一般教養24 の81点(合格ラインは84点)。 1年目の学習はとにかく突破塾の通信講座を繰り返すことに集中、それだけしか余裕がなかったというところが正直なところです。20年以上まとまった学習から無縁な生活をしてきたので、とくに最初は焦りや迷いから来る精神的なストレスで、肩こりに悩まされたり、持病の不整脈の発作もありました。それでも自分では集中して学習できたと思い、1ヶ月前の全国模試の散々な結果を見るまでは何とかなるのではと楽観的でした。さいごの1ヶ月は行政法に集中しましたが、憲法民法は散々な結果で及びませんでした。

---反省---
 2年目の学習は1年目の反省から始めました。結果としては不合格に終りましたが、この一年は学習のやり甲斐が感じられた一年でした。法律的な知識はもちろんのこと、一般教養の学習を通じてあらためて現代社会の多くのことを学び新聞の読み方も一段と広がり深まったと思います。それにつれて行政書士の資格を取ってからの第二の人生も、当初の漠然としたものから仕事の分野も少しは具体的に考えられるようになりました。
 2年目の学習の開始に当って考えたことは、
 ①行政書士試験だけに専念すること。年々難化している行政書士試験を甘く見ない。
 ②「突破塾」の通信講座をマスターできれば合格は可能の自信を持てた。試験内容の改正もあるが、あれこれの教材に手を出さず「突破塾」の対応を信頼して学習すること。
 ③学習と並行して健康の回復をはかること。休肝日をもうけ、毎日ストレッチと散歩に心がけて規則正しい生活を送る。
 ④憲法と民法の学習を強化すること。特に民法は理解不足で、行政書士試験には歯が立たなかった。もう一度しっかりと基本的な学習をすること。
 ⑤過去問や問題集への取り組みを強化すること

---プラン---
 行政書士試験2年目再挑戦の覚悟決めていましたが、気持ちの落ち込みと「もしや」の期待も捨てきれず実際に結果が出るまでは再スタートをきれませんでした。試験傾向の分析や情報収集はやっていたものの本格的な学習のスタートをきれたのは2月になってからでした。
 大まかな学習プランは「突破塾 講座活用ガイド・理想的プラン」を参考にしました。「1~5月頃(主要科目の基礎力育成期):憲法・民法・行政法の基礎を固める、6~8月頃(試験の全範囲を見渡す時期):地方自治法・商法等と一般教養の学習、8月中旬~下旬(一通りの学習を終える時期):記述の学習も、9月~11月(総復習期):これまでに学習した内容を、もう一度復習」。
 一週間のスケジュールとして、週4日の学習3日の休みという余裕を持ったスケジュールにしました。月火:学習、水:休み、木金:学習、土日:休み。1年目の反省から、あまり自分を追い込まないようにとの反省からです。休みは、休養以外に新聞や本を読んだり地域の民生委員としての活動などにあてることにしました。

---模試---
 1年目は直前の2回の全国模試しか受けませんでしたが、2年目は早目から予備校模試を受けることにしました。模試の受験を学習の区切りに設定しました。どの模試を受けるのかも結構悩むところです。予備校によって基本問題の多いところ、独自の応用問題の出題を特徴とするところなどそれぞれ特長があるようです。どういう内容を模試に期待するかという事やそれぞれの相性もあると思いますが、私の場合は基本問題が多いほうが繰返し復習するのに適していたようです。

---テキストと過去問---
 受験以降は学習から遠ざかっていたので、とりあえず憲法・民法・行政法を受験時のレベルまで記憶を取り戻すことを目標に取り組みました。学習の中身は突破塾のテキストとCD、行政書士の過去問です。1年目はテキストの学習はCDを聞き、ある程度まとまったところで行政書士の過去問をやることにしていましたが、2年目はテキストの学習の直後に過去問をやるという形ですすめました。テキストを聞くと分かったような気になりますが、問題をやってみると実はよく理解できていないことがはっきりします。また理解すべきポイントも明確になります。この点は2年目に学習をやり方を大きく改善したところです。
 学習再開当初はなかなかペースがつかめず、学習の能率も上がらず、3月の初めにも「午前中は何をするともなくぼんやり 頭さえないこと甚だし 何度か過去問をやろうとしてみるがダメ やる気起こらず あきらめる」と日記に書いています。体調も「花粉症」とあいまって不整脈も出るなど、この時期は苦しみながら何とか学習を進めたという感じです。3月末に「実力診断模試」を受験しましたが、最後の週に集中してやっと計画を不十分ながらやり終えるという状態でした。模試は25問1時間で内容も基本的な問題が多かったこともあり、民法を除いてはまずまずの出来で2~3月の学習はそれなりに報われた感じを持った事が最大の収穫だったと思います。民法は学習不足でこれからの課題になりました。

---家族---
 4月最初には1週間ほど田舎に帰省、母が少し認知症気味で様子を見に帰りました。早く行政書士に合格して安心させてやりたいという思いをあらためて強くしました。受験までの長期の頑張りには家族の支えは何よりも大きなものです。私の場合は経済的にも物理的にも家族には大きな負担をかけて、行政書士試験の学習に専念できる贅沢な環境を作ってもらいました。また受験までには予期できない出来事も避けられませんが、私の場合はこの2年間は家族や親族にも大きな境遇の変化もなく学習の障害にもなりませんでした。そうした点は運もよかったと思います。

---問題集---
 6月最初には2回目の模試を設定。それにむけて4~5月の学習は問題集への取り組みを本格化させることにしました。1年目は行政書士試験の過去問も充分にマスターできたとはいえませんでした。その結果、行政書士試験本番でも問われている内容を把握するのに時間もかかり、合格に至らなかった要因のひとつになったという反省がありました。さらに難化傾向という事で突破塾でも推薦されていた公務員試験問題集に取り組むことにしました。主に国Ⅱのレベルのものです。憲法は国家Ⅱ種・地方上級公務員過去問「出たDATA問」(東京アカデミー)。民法は地方上級・国家Ⅱ種「ウォーク問」(LEC)。行政法は公務員試験「過去問DASH!」(TAC)、これだけは国家Ⅰ種レベルの問題も収録されていますが、主には国Ⅱレベルを学習しました。数多くの問題に取り組むことでテキストの内容が多面的に理解でき、単に正解するというだけでなく解説を精読することでまた理解が深まるということで問題集に取り組むことは理解のアップになったと思います。実際に行政書士試験では、行政法の問題8や情報公開法の問題26は問題集からの知識で解答できたものでした。

---民法---
 一番苦労したのは民法です。6月に受けた模試でも依然として債権の問題が全く解けませんでした。問題集に取り掛かってもなかなか進まない。「理解」というのは具体的な事柄に結び付けてイメージできることだそうですが、ほかの教科と違って民法の場合は問われている内容がよく判らない、イメージできないといった状況でした。結局対策としては、問題集とテキストを行ったり来たりして具体的なイメージが思い浮かべることができるまで繰返すことしかありませんでした。問題集で引っかかれば、時間がかかってももう一度テキストとCDにかえって学習しなおして再度問題集に当たる事でした。

---記憶力---
 中高年になると記憶力が低下するといわれますが、数字や言葉の記憶という点では若いときより後退することは仕方がないと思いますが、逆に社会経験の豊富な分だけ具体例をイメージすることでは優位なはずです。新しい知識に対して「判りきった事」という悪慣れではなく新鮮な気持ちで受け取ることができれば若い人に劣ることはないと思います。記憶した後はすぐ眠るのが良いそうです。2年目は寝る前に憲法の条文を毎日読むことに努めました。効果があったとおもいます。

---サイクル---
 憲法・民法・行政法をどういうサイクルで学習するかということも試行錯誤でした。1年目は行政書士試験直前を除いてだいたい1科目をひととおり終了してから次の科目に取り掛かるようにしていましたが、2年目は大まかにでも全体の内容が頭に入っているので、出来れば早めに「日替わり」とは行かないまでも、1週間のうちに1回は各教科を学習することを目標にしました。不得手な民法を主にしながら、週に1日は憲法・行政法にそれぞれ取り組むことにつとめました。とはいっても大抵は行政法を模試の前に集中してやることになりなかなか上手くはいきませんでしたが。

---諸法令(昔の呼び方ですが)---
 6月になって主要3科目を進めながら諸法令にもとりかかりました。諸法令については突破塾のテキストと行政書士の過去問・予備校模試の問題演習だけで特別の問題集は使いませんでした。ただ商法についてはその出題範囲については、なかなか決定せず不安でした。多くの予備校が新会社法での出題を前提にカリキュラムを実施する中で、突破塾では慎重に推移を見ながらも5月初めには旧商法での講義とすることが発表され他の予備校に比べても対応が早く、おかげで余計な学習をすることなく対応できました。

---健康---
 模試のあとは4~5日は模試を振り返りながら、行政書士の学習は抑え目にして休息をとり、クールダウンして、次の節への学習のメリハリをつけるようにしました。1年目は健康面でもなかなか自信がもてなかったことを反省して、2年目は晩酌も極力控えて週に2~3度とし、寝床での簡単なストレッチや通信講座のCDを聞きながら毎日の散歩を心がけました。行政書士の学習もほぼ計画通りに進むようになって毎日の学習も6月ぐらいにはやっと定着してきました。

---一般知識---
 一般知識については、突破塾の通信講座をしっかりやれば充分得点できるというのが1年目に取り組んだ感想でした。2年目は最近の行政書士試験の問題傾向をつかむ上で過去問のH12年以降の問題だけはやってみました。日々新聞を読んだり図書館を利用して財政や時事の知識を得ることには努めましたが、あくまで突破塾のテキストを丁寧にやることが基本でした。

---参考書---
 2年目ははじめて参考書も購入、ある予備校で推奨されていたものです。高橋和之「立憲主義と日本国憲法」(有斐閣・2005)大村敦志「基本民法Ⅰ」「基本民法Ⅱ」「基本民法Ⅲ」(有斐閣・2005〔第2版〕)櫻井敬子・橋本博之「現代行政法〔第2版〕」(有斐閣・2006)必要に応じて開くだけという形だけでしたが、「突破塾」のバージョンアップ教材の学習の際には役立ちました。

---記述問---
 8月の模試では初めて記述問に挑戦しました。記述問対策も「突破塾」まかせで対応は8月末に突破塾の記述問練習問題が届いてからでした。とりあえず憲法の83問、最初は回答例のキーワードをマーカーしたうえで寝床で読んでおき、翌朝実際に書いてみるという方法。これの繰返し。完璧に書けるまでには到底なりませんでしたが、記述問に取り組むことでそれまでの学習よりも内容の理解度が大いに深まったと思います。

---気分転換---
 長丁場の学習では、毎日の行政書士試験の学習の習慣を如何につけるか学習に集中できる環境を如何につくるかという事が大事です。そのためには行政書士試験の学習以外のことは多かれ少なかれ犠牲にせざるを得ないと思います。と同時に気分転換も必要で、行政書士試験の学習以外の趣味も一つは残しておいたほうが良いと思います。私にとっては「古本蒐集」であり、民生委員としての活動でした。

---情報収集---
 おもにはインターネットに依拠しての情報収集でした。行政書士試験の予備校のサイトもできるだけみるようにして、提供されている「無料ストリーミング」も大いに利用させてもらいました。合格者の経験談もよく読みました。学習の動機付けややり方、スケジュールの立て方、スランプのときの励ましになりました。「突破塾」の受講者からの質問と答えも、毎日のように閲覧して参考にさせてもらいました。質問のレベルがけっこう高くて、その内容がよく理解できないことが多かったですが。

---繰返し---
 6、7月で記述を除き、法令については最低限の一通りの学習は終了。8月、9月は問題集と一般知識対策を図ることにしました。8月の学習で憲法民法行政法の問題集はそれぞれ2~3回目を終了。問題集もやってひと月もたつとすっかり忘れています。とにかく何度も繰り返す以外にありませんでした。9月も過去問・問題集の繰返しをしながら一般知識と記述問の学習にも時間を割きました。そうして受けた9月末の模試でしたが、結果は140点満点で71点(足切84点)、法令49点(足切56/112点)一般知識22点(足切12/28点)日記には「結果は、散々でがっくり 疲れはなはだし 真剣な分析と反省が必要」と書いています。前日までの追い込みで当日に疲れのたまった状態で模試に臨んだことも一因でしたが、それでも落ち込んでいる暇はありませんでした。

---焦り---
 最初にも書きましたが行政書士試験一ヶ月前のこの時期が一番焦っていたように思います。模試の結果も最悪で、さらに新たな記述問の教材が届いて学習のやり残しが多いとも感じて学習を続けていてもかなり追い詰められた気分で過ごしていました。行政書士試験3週間ぐらい前になって少しマトメの学習が進んで、前回の模試の結果が悪かったのは詰め込んだ知識が良く整理できていなかったことだと考えることができるようになり、予定していた最後の模試の受験を取りやめました。模試の結果に一喜一憂するよりも残された時間を計画通りの学習につとめたいと思ったからです。こうして気持ちの上で少し落ち着きを取り戻しました。

---最終盤---
 行政書士試験まであと10日となると残った日数とやるべき事を睨んでは、計画を二転三転しながら学習を進める毎日です。試験への不安と同時に、一日も早く終わってほしいという心境でした。試験2日前には突破塾から励ましのメールが届きました「今皆様ができることは、とにかく自分の力を出し切るということです。不安や緊張は押し込めて、全力を出すことだけを考えましょう」そうして迎えた行政書士試験当日でした。

---かかったお金---
 この2年間の受験と学習にかかった費用を書いておきます。

1年目:受験料 7,000 突破塾通信講座 69,500 模試2回 6,000 六法 2,700 過去問 9,430 計 94,630円
2年目:受講料 7,000 突破塾バージョンアップ教材 20,100 模試4回 12,500 六法 2,625 問題集 5,447 参考書 13,250 計 60,922円
合計 155,552円

 このように私の2年間の行政書士試験の学習は試行錯誤の連続でした。結果がわかるまでは合格の確信ももてなかったのが実際です。結局出来るだけのことを直前までやるしかありませんでした。他の教材は使わず「突破塾」だけにお世話になった2年でしたが、1年目の不合格を乗り越えて今年合格できたことをあらわすのに「突破」という言葉が一番ふさわしいのではないかと思います。わずか3点が足らずに不合格だった1年目を「運が悪かった」と考えることもできますが、その3点をクリアするにはもうひとがんばりを上積みして「突破」することが必要でした。「突破塾」に出会えたことに感謝いたします。
 今年は残念な結果に終わった方、特にわずかな差で合格に届かなかった方は来年こそは「突破」されるよう応援しています。長い文章を読んでいただいてありがとうございました。